「英文法を撫でる」渡部昇一

図書館で渡部昇一氏の「英文法を撫でる」という本があったので借りて読んでみました。

上智大学出身である事は知っていたのですが本職が英文法の研究であることは知りませんでした。
英語の実用的な本では全くないですが、言語学としてみたときの英語の由来などが分かり面白いです。

英文法を撫でる (PHP新書)

英語は、元々文法的にはドイツ語に近く、フランス語の語彙が後から入ってきた事は私も知っていたのですが、その歴史的な経緯というのが、世界史的に見たときに英国の王朝の歴史に関係がある事が分かり面白かったです。

英語の古英語は、ゲルマン語の低地ゲルマン語(オランダ語)と同じ仲間だったそうで、基本的文法構造は同じだそうです。ドイツは、ローマ帝国に支配される事がなかったため、ドイツ語は古い文法や語彙が保存されて保守的な言語となった一方で、イギリス王朝はノルマン人の征服により、ノルマン地方のフランス語が王朝では使われてきたとの事。このため、古英語と中世の英語には断絶があるとのことです。

英語はドイツ語と比べて変化が早く、ドイツ語は保守的に変化した。このために英語の中だけでは理由が分からない事が、ドイツ語から分かる事があるとの事。

その例として、「nowadays」の[s]の意味は、副詞を作る働きなのだけれども、これは英語由来ではなく、ドイツ語の副詞を作るsから由来している。「tags und nachts = days and nights」という用例からも分かると。

また、日本人は、昔から漢文を返り点で読むという、他言語を分析して取り込む事が出来ており、これが英語の導入に当たっても英文法を使って文章の中身を精読することが出来た理由になっているとのこと。明治時代においては話が出来る事よりも、書いてある中身が正確に理解できることの方が重要であり、新しい概念や内容を理解する上で英文法は役に立ったと。
 また、渡部氏本人が、ドイツに留学してドイツ語で論文を書くのですが、英語でドラフトしてドイツ語に直していたうちに、指導教官から直さなくていいと言われた話など、正しい文法を理解しているとドイツ語との親和性により非常に上達が早かったとの事です。

聞く事、話す事は経験という要素が大きいですが、ある意味英語圏で生まれ育つと誰でも出来るスキルです。他方、読み書きをアカデミックレベルで正しくできるということは、知性とそれなりのトレーニングが必要となるため、日本の英文法に基づく教授法が間違っていた訳ではないと思います。

私自身も英語については、中学及び高校で英文法と例文暗記をした口ですが、そんなに悪くなかったと思っています。今思えば、それを定着させるための反復回数や暗唱が足りなかった事、語彙、読んだ量が圧倒的に足りなかったという事が問題であり、基礎となる文法の上に膨大な量(語彙と文章)のインプットをすれば読むことが出来るようになるのだと思います。

聞く事はトレーニングをする事ですが、まずは文法と語彙の上にレベルに見合った読書量と簡単な作文トレーニングをして身につける。聞くのは、読めるレベルに応じて出来るようになると思います。しゃべるのはパターンレッスンなら丸暗記で対応できるのでしょうが、正しく内容がある事を話すには、頭の中で考えながら作文をするわけですから、一番高度な作業かもしれません。

それを振り返ると、明治時代の日本人がまずは読むためのツールにこだわったのは正しかったのではないかと思います。
今日では、それに加えてコミュニケーション能力も問われている訳ですが、正しい土台なくしては、教養あるコミュニケーションは難しいと思うので、結局バランスを取りつつもレベルをあげていくしかないという事だと思います。

私自身も読む事と聞く事のレベル差はなくなってきたと思います。聞く事は、映画やNativeのスラングは困りますが、仕事上は聞き取れないという音はありません。他方、書く事、しゃべる事はまだまだ稚拙でNativeレベルとの差は大きいと感じる毎日です。

引き続き頑張らないと。。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)